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東京高等裁判所 昭和60年(行コ)1号 判決 1985年11月15日

東京都千代田区神田神保町三丁目四番地

控訴人

株式会社文伸社

右代表者清算人

野尻文夫

東京都千代田区神田錦町三ノ三

被控訴人

神田税務署長

桜井博之

右指定代理人

大沼洋一

小林康行

小林正樹

岡田則男

岩崎輝弥

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し昭和五六年五月一二日付でした昭和五四年二月一日から同五五年一月三一日までの事業年度分法人税に係る重加算税賦課決定(昭和五六年一〇月九日付異議決定により一部取り消された後のもの)を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主人同旨

第二当事者の主張

次のとおり附加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。

一  控訴人

控訴人と被控訴人との間に、昭和五九年三月一五日、控訴人が金六五万五三〇〇円を納付することにより本件重加算税を全額納付ずみとする旨の和解契約が成立し、控訴人は、同日被控訴人に対し右金員を納付したから、本件処分は取り消されるべきである。

二  被控訴人

被控訴人が控訴人主張の日に金六五万五三〇〇円の納付を受けたことは認めるが、その余は否認する。右納付額は、過少申告加算税金四二万三一〇〇円、重加算税金二三万二二〇〇円の合計であり、本件重加算税のうち金一一六万一〇〇〇円は未納付である。

第三証拠関係

原審及び当審記録中の証拠に関する目録の記載を引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当としてこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次の説示を附加するほかは、原判決の理由説示と同一であるから、これをここに引用する(ただし、原判決一〇枚目表末行に「各四〇万円」とあるのを「各六〇万円」と、原判決一二枚目表六行目に「昭和五四年一二月二一日」とあるのを「昭和五五年一月八日」と、同七行目に「同日付」とあるのを「昭和五四年一二月二一日付」と、同枚目裏五行目に「四月二〇日」とあるのを「四月三〇日」と、同一七枚目表二行目の「しかし、」から同五行目の「ないから、」までを「しかし、前記甲第四号証によれば、右一〇〇〇万円が本件預金口座に昭和五四年四月一九日に入金されたことはこれを肯定することができるものの、前記甲第六号証によると、決算書上右金員が本件預金口座に入金されたことは何ら明らかにされているわけではないことが認められるから、」とそれぞれ改める。

(当審における控訴人の主張について)

控訴人の右主張をもっては、控訴人が取消しを求める本件重加算税賦課決定を違法とすべき事由にあたらないことは、明らかというべきであるから、右主張は、主張自体失当であるのみならず、控訴人が主張の日に主張の額を納付したことは当事者間に争いがないが、当審証人平尾成司の証言により成立の認められる乙第二一、第二二号証及び同証人の証言によれば、右納付は、本件所得に係る過少申告加算税金額金四二万三一〇〇円及び本件重加算税の一部金二三万二二〇〇円の分としてなされたものであること、控訴人主張の和解契約は成立していないことが認められる。

二  そうすると、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 桜井敏雄 裁判官 増井和男 裁判官 河本誠之)

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